まさか、あの世界の指揮者、西本智実さんのコンサートに合唱団で参加できるとは夢にも思っておりませんでしたが、そういうことを可能にする力が平戸にはあるんですね。一夜醒めても興奮が収まりません。満場のお客様の感動がどのくらいすごかったか、あの鳴り止まない地響きのような拍手が証明しました。平戸には音楽ホールがなく、多目的ホールなので西本さんがここで演奏をしてくださるなんてあり得るのだろうかと思っていました。しかし、西本さんの曾祖母まで住んでいた平戸・生月に無形で、しかも口伝だけで456年前のグレゴリオ聖歌(ラテン語)の原曲とされる「生月唄オラショ」が受け継がれている奇跡は他にも例がなく世界に発信していくべきものだと住んでいる私達にその財産の大きさを教えてくださいました。リハーサル中、「ホールと仲良くなりましょう」とおっしゃり、響かないホールでは長めに演奏するなどホールの特徴に合わせた演奏方法を指導されました。ほんの数時間での合わせの後の本番。楽章間や曲の途中でも大きな満場の拍手。西本さんの迫力に魅了された会場の興奮を感じました。当初、合唱団は第三楽章からの入場の予定でしたが、最初から入場できたので、三楽章まで特等席でオーケストラの演奏を楽しむことができたのも幸運でした。
博多から高速船ビートルで平戸に上陸した西本智実さん
昨年、バチカンで演奏されたオラショが正式な聖歌として認められました。
2年後の世界遺産登録に拍車がかかっています。