一昨日は佐藤しのぶさんのコンサート(アルカス佐世保)のアンコールでシューベルトのアベマリアを聴き、今宵は平戸オランダ商館でバリトン歌手の同じアベマリアを聴きました。ほんの数日の間に男性、女性の違いはあるものの同じ作品を聴き、私達のサークルがやっている中世のアベマリアとの違いがふとよぎりました。

中世はテンポが早く、淡々とポリフォニーで演奏しますが、近世はモノフォニー。つまり、中世では合唱でしかアベマリアを歌っていなかったのに近世では独唱になっています。近世のものは今も歌い継がれ大変ポピュラーですが、中世期のものはかなりマイナー。隠れキリシタンの唱えているオラショはそのマイナーな時代の原譜と言われています。

西本智実率いるイルミナートフィルが11月にバチカン音楽祭でこのオラショを演奏することは先にお伝えしたとおりですが、そのメンバーに今宵の出演者のバイオリニストも参加されるとのこと。縁あって平戸で演奏なさっているような気がしてなりませんでした。

日経新聞に瀬戸内の人口2000人ほどの小さな島で、一流の演奏家を招き、月に一度音楽会を開催していることが掲載されていました。すでに150回開催されていてどの演奏家も大変その島での演奏に満足し、断る人がいない。島の人のもてなしが良い循環を作っているようです。宮廷音楽時代、小さなホールで演奏者と観客が至近距離で演奏していた頃のようにこの島でも行われており、それはまるで平戸オランダ商館でやっている演奏会そのもの。

恵まれた環境でいつも音楽が側にある平戸はとても素晴らしい島です。